賃貸すらできないパラサイトシングル

このような話は昔から良く言われていたものだろう。

2000年代前半の超不況時代には、モリタクが「人生の三大不良債権」と称し、「嫁(専業主婦)、子供、住宅ローン」を挙げていた。

モリタクのおかげで世の男性たちは結婚や家を買うことが馬鹿馬鹿しいということに気づき、未婚を選択し、家を買うのを控えたりするようになった。

タマホームのような格安建売会社は徹底してコストを抑えて売る攻勢に出たが、それは言うまでもなく働く側を搾取して成り立っているわけで、そういうところは結果的に利益なんてほとんど出ない状態になっていたわけである。(今年5月期の決算が先週出たが、ようやく最終利益が黒字化した程度である。)

一方、賃貸の場合は保証人等を付けなければならないケースが未だに多く(保証会社を使う場合は余計なカネを取られる)、高齢だったりすると家を借りられないケースも出てきてしまう。

モリタクは人生の三大不良債権の一つに「持家」を挙げたけれども、賃貸もまた似たようなものではないかと思う。

それをよく分かっている非正規負け組の人たちは、「パラサイトシングル」という手段を取り、実家から出ることなく高齢の親と同居するケースが増えていった。かつてはそういう人たちは「家事は親任せで、生活費もロクに負担せず、遊びまくっている怪しからん奴」みたいなレッテル貼りがあったけれども、自分の知る限りそういう人は少ないと思う。実際にパラサイトシングルになってしまうのは非正規や中小零細正社員でアパートすらロクに借りられないような賃金しか貰えていない人が多い。

持家や賃貸が「不良債権」だとし、実家に寄生している人が一見すると勝ち組に見えるが、実は「それしか選択肢が無い」ケースが大半なのだ。

ただ、家を借りることすらできない可哀想な人が増えたおかげで、日本は日用品の物価が低くて済んでいる。そういった人たちが低賃金で働いて、自立せず、実家で暮らしてくれているおかげで「賃金上げないと会社を爆破するぞ」みたいなテロリストが生まれずに済んでいるのである。

昔はカネがあっても「長男だから実家を継げ」と言われ、結婚しても両親との同居を余儀なくされていたケース等があったわけだろうけど、今はカネが無いから同居せざる終えない時代になってしまっている。

中には40過ぎてまで未婚で金が無い(非正規無職等)から親と同居せざる終えない人が沢山出てきているが、自分の意思で人生が全く自由にならない可哀想な人なんだろうなと思っている。

ただ、そういう人たちが自分の境遇を変えるために何か頑張っているかと言えばそうで無いところも多いために、「怠けている」と思われても仕方がないことが多い。

40代半ばになり、父親が亡くなって母親と実家で同居する知人がいるが、非正規だと本来人間が経験すべきことを経験できず、ずっと高校を卒業したときのままで時が止まってしまっている。駅からバスを使わないとダメな場所に住んでいるのに、自動車を持っているわけではなく、維持費が非常に安いバイクしか移動手段が無いのである。

恐らく40代半ば辺りだと「ローン地獄」に悩まされたりするのがこれまで良く見られたケースだったが、ローンどころかアパートすら借りられず、高齢の母親と同居せざる終えない人がどんどん増えていっているのである。

40代半ばなのに独身で母親と同居している中年男というのは基本的に「犯罪者予備軍扱い」されているのが実態だろう。一方で、「貧困女子(笑)」みたいに福祉の対象にすべきという声も全く出てくるわけもなく、間違いなく放っておかれる層なんだなと思う。

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