マレーシアの女性監督の幻の名画…映画 『タレンタイム』

2009年に51歳の若さで亡くなったマレーシアの女性監督ヤスミン・アフマドの代表作を観ました。製作されてから8年がたって今回やっと日本で公開されました。彼女の母方の祖母が日本人だそうで、2003年に監督デビューし、2作目の『細い目』で脚光を浴びたようです。今回の作品の発表後、脳内出血で急死したそうで、映画監督生活はたったの6年で6本だったそうです。

人種が多様なマレーシアの映画らしくマレー語、中国語、タミル語など複数の言語が使われ、民族や宗教の異なる人々がいっぱい登場する映画でした。そんな混在するマレーシアの人種社会を丸ごと肯定して描いた映画でした。人種の壁など気にしない軽やかに飛び越えたところで映画を作っている姿勢に感心しました。何かというと世界中があらゆる“壁”を作って対立している世の中で、愛と寛容の精神で人を優しく包み込んでくれる映画を作っているのは素晴らしい。

物語は、ある高校の音楽コンクール“タレンタイム”の話。ピアノが上手な女子高生ムルーは耳の聞こえないマヘシュと祝福されない恋をします。二胡を演奏する優等生カーホウは、成績も良く歌やギターも上手な転校生のハフィズがキライでした。そしてマヘシュの叔父を悲劇が襲ったり、闘病を続けるハフィズの母がいたり…、そんな中でマレー系、インド系、中国系などの民族も宗教も違い、お互いわだかまりや葛藤を抱きながらも、1つのコンクールに挑戦します。そんなかけがえのない青春時代を描いた傑作な群像劇でした。

民族の違いや宗教の違いも乗り越える、恋する喜びや友への想いなどの青春のみずみずしい世界を良く描いている映画でした。そして最後にちょっぴり感じたことは、人生にはとても楽しい瞬間のそばに、いつも悲劇が待ち受けているということ。そんな現実を見つめながら、決して微笑みを忘れずに前を見つめて生きていこうという映画でした。そのために大切なのが愛と寛容ということらしいです。女子高生の主人公をパメラ・チョンが演じていましたがとても綺麗でした。

2009年製作の2時間のマレーシア映画でした。