独で進む電気自動車革命 

2016年は、ドイツの自動車業界が電気自動車の普及へ向けて大きく舵を切った年として産業史に残るだろう。日米と並ぶ世界の自動車業界の雄・ドイツは、車の原動力を化石燃料から電力に移行させるべく、本格的に疾走を始めた。

11月29日に独の自動車大手フォルクスワーゲン(VW)、BMWダイムラー、フォードは来年3月までに共同会社を創設し、欧州全体の主要幹線道路に沿って、電気自動車の高速充電スタンド網を設置する計画を明らかにした。設置される充電スタンドの出力は350KWで、約5分間で車の充電を完了することをめざす。これは現在ドイツの高速道路の休憩所に設置されている充電スタンドの出力の7倍だ。

共同会社は来年400ヶ所の充電スタンドを設置し、2020年までに数千ヶ所に増やす。ドイツで現在使われている電気自動車の数は約6万台にすぎない。この国では電気自動車を買うと、国から4000ユーロの補助金を受け取ることができる。それにもかかわらず普及が進まない最大の理由は、充電スタンドの少なさである。現在ドイツには、化石燃料の給油所が1万4200ヶ所ある。これに対し、充電スタンドの数は2900ヶ所に留まっている。高速充電装置を持つ給電所は、わずか430ヶ所だ。

つまり「長距離ドライブの際に、電池が空になって立ち往生するのは嫌だ」と考える市民が多いのだ。このため大手自動車メーカーが共同で、電気自動車普及のためのインフラ構築に乗り出す意味は大きい。

一方VWは、2025年までに電気自動車の年間生産量を100万台に増やし、世界最大の電気自動車メーカーになるという計画を11月22日に発表した。ダイムラーBMWも電気自動車の車種、生産台数を増やす方針。内燃機関に強い独自動車業界にとっては、革命的な事態だ。

RWE、EnBWなどドイツの電力会社も、電気自動車に関する新しいビジネスモデルを編み出すべく水面下で動いている。(イラストも筆者)